これからのハイブリッド会議室のスタイル(会議室設備導入の担当者向け)
音響映像ソリューションの専門企業であるアストロサーブが、自社の会議室を最新環境に刷新しました。 本記事では、その設計思想と選定基準を余すことなくご紹介します。
会議方式の多様化がもたらす複雑性
多くの企業ではテレビ会議システムを継続運用しながら、Web会議が急速に一般化しています。複数の会議方式が共存する現在、会議室では以下の要件を同時に満たす必要があります。
・セキュリティ(テレビ会議)
・利便性・スピード(Web会議)
・対面+オンラインの同時コミュニケーション(ハイブリッド)
これに伴い、会議室インフラはこれまで以上に高度かつ複雑な環境となっています。
安定性・セキュリティと、柔軟性・スピードを両立する必要があるため、会議室インフラはこれまで以上に高度化しています。
技術の進化が、新たな運用課題を生み出しています。
顕在化する課題 — 技術/運用/投資にまたがる影響
実際に企業から寄せられるご相談には、以下の3つのカテゴリに集約できます。
課題カテゴリ | 典型的な症状 | ビジネスへの影響 |
技 術 | ⾳声障害・接続不良・互換性・相性問題 | 会議遅延、信⽤低下 |
運 ⽤ | 操作が複雑、属⼈化 | ⼯数増、サポート負荷 |
投 資 | 重複投資、費⽤対効果不透明 | 予算上のリスク |
ハイブリッド会議は“接続できる”だけでは不十分です。
会議品質を維持しながら効率化を実現する環境が必要とされています。

解決アプローチ — 目的起点の会議室設計
参考までに、会議室ソリューションを導入する際の設計プロセスの一例をご紹介します。
①課題の棚卸し
②優先度付け
③会議スタイルの定義
④運用フロー策定
⑤投資回収計画の共有
これにより、ユーザー体験と運用効率の両立が可能になります。
実例 — 自社エクスペリエンスルームの設計
自社の会議室の為に、アストロサーブのエンジニアが設定した設計コンセプトは以下になります。
設計コンセプト:
A. ユーザーフレンドリー(操作をシンプル化し、属人化を防止)
B. 複数会議基盤への対応(Zoom Rooms/Teams Rooms 等)
C. 検証・開発基盤として活用可能
D. グローバルスタンダードなハードウェアを採用
E. スタイリッシュな空間デザイン
“技術”と“運用”と“空間価値”の三立てを実現する
◎機器例
- Shure シーリングマイクMXA920W-S-60CM
- CRESTRON 1 Beyond AIカメラ IV-CAM-I12
- ZoomRooms と TeamsRoomsそれぞれの専用ミーティングデバイスを採用
- ケーブル・ハードウェアは極力天井や壁へ収納し、AVラックを排除
●コンセプトに沿ったシステムと機器選定の解説
A.ユーザーフレンドリー 操作をシンプル化し、属人化を防止
ユーザーフレンドリーを実現するには、複雑な機器操作がないことがまず一番です。Zoom RoomsやTeams Roomsを導入すれば、身体一つで入室するだけでWEB会議を即開催、参加する事が可能な会議室になります。エクスペリエンスルームにCRESTRON社のUC-CX100、Neat社のNeat Bar Generation 2を設置しこの条件をクリアしました。
また、会議室予約システムを採用。Outlookから直接使用者が会議室を予約・変更・キャンセルできるので、専任の担当者が管理する必要がありません。会議室のダブルブッキングや、空き会議室の無駄を削減できる合理的なシステムです。会議室入口に設置したパネルで使用状況が確認できるので、空いている会議室が一目瞭然。その場で確認して予約・使用するといった事も可能になりました。
B.複数会議基盤への対応(Zoom Rooms/Teams Rooms 等)
C.検証・開発基盤として活用可能

エクスペリエンスルームでは、同室にZoom RoomsとTeams Rooms両方のアプリケーション対応ができるシステムにしました。現在日本国内で大きなシェアを占めているのは、先述の2社です。部屋にPCを持ち込む必要がないこのオンライン会議Roomsソリューションは、まだ導入されていない企業も多いですがお客様からのお問合せが多く、急速に拡大定着していくと予測しています。エクスペリエンスルームにZoom, Teamsの専用端末がある事により、社内での検証、開発、サポートにも困らない環境となっています。 また、ノートPCを持ち込みUSBで接続すればGoogle Meet などその他のWEB会議アプリケーションでもエクスぺリンスルーム内のカメラ・マイク・スピーカーを使用可能です。これらのシステム設計でWEB会議ツールの対応が柔軟になり、何を使用するか心配する煩わしさがなくなります。
D.グローバルスタンダードなハードウェアを採用
弊社は顧客に外資の企業も多く抱えており、また海外とのやり取りが多いお客様も多数いらっしゃいます。世界的に採用されているシステムをリクエストされる機会が多い事から、検証・開発を行う自社のシステムも人気の設備を意識した選定をしました。
E.スタイリッシュな空間デザイン
機器類やケーブルを極力見えないようにして、「AVラックを置かない」ことで、会議室をスッキリとスタイリッシュに演出する事ができます。エクスペリエンスルームでは壁や天井面に機材を収納していますが、この方式は外資企業が好んで取り入れています。また前述のShure社のシーリングマイクを設置することで、卓上マイクが不要になりました。視界に入る機器を減らし広い机を確保して、更に会議のストレス軽減を図っています。
◎これらの要素に加え、エクスペリエンスルームには重要な会議の内容が会議室外に聞こえてしまう“音モレ対策”もしているため、プライバシーや機密事項に関する会議も安心して行える設計になっています。
■実際に最新の会議室ソリューションを体験した来訪者の反応
エクスペリエンスルーム完成後に、お取引様などをご招待し、部屋の説明をさせていただきました。その際に、隣室のハドルルームも使用して簡単なWEB会議の音声実験を行いました。両部屋をZoomで繋いだ状態にして、実際にお菓子を包んだ袋を開閉する音や、資料をめくるペーパーの音などを出しましたが、これらのノイズを一切カットし、話者の音声だけをクリアに相手側に届ける事が可能であると体感していただきました。また、卓上にマイクやケーブル類が一切無いスタイリッシュな会議室デザインがご好評でした。
アストロサーブのエンジニアによる部屋のプレゼンテーションを受けた方々は、一様に音質の良さ(ノイズを拾わずに反響音が少ないこと)と煩わしさのない快適な会議室空間に好反応を頂きました。参加者の中には同業他社の音響のプロもいらっしゃいましたが、エクスペリエンスルームのエコー音対策に非常に関心を持たれていました。
アストロサーブのソリューションは、まるで対面で会話しているかのようなレベルで会話ができるので発言の混乱が少なくなり、会議をスムーズに行えます。
未来へ向けて更なる進化を:AIが変える会議室ソリューション
近年では、AIがリアルタイムに会議室の音場を補正する技術も登場しています。最新モデルでは、自動EQや話者トラッキングが標準搭載されている機器も存在しています。 将来的には、AIが会議内容や参加者の発話量を学習し、「聞きやすさ」と「話しやすさ」のバランスを自動でとる世界がやってきます。
また、AIが自動で議事録作成まで行うソフトウェアも流通しています。
オフィスの会議室は、これから“コミュニケーションの生産性を高める環境設計”が進化していくでしょう。
■まとめ — 会議室ソリューションは働き方を支えるインフラへ
ハイブリッド会議において、どのようなソリューションを導入するかで会議の効率が大きく変わります。それは、組織のコミュニケーション文化を支える大切な要素です。
良い会議は会話を深め、アイデアを引き出し、距離を縮めます。 オフィスの未来は、“伝わるコミュニケーション空間”にあります。
🏢 おわりに
この記事で紹介した取り組みは、私たちが実際に自社オフィスで進めている会議室改善プロジェクトの一部です。アストロサーブは会議室の他にも、音響・映像・空間演出を組み合わせた様々なプロジェクトに取り組んでいます。
音響映像設備を活用したオフィスづくりやハイブリッド会議環境に関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

